腰の痛みを引き起こす疾患は多数あります
腰は常に重い身体を支えており、日常生活においてもよく使う場所でもあるため痛みが起こりやすいです。
日本の人口の3人に1人が訴える痛みの中で最も多い症状が腰痛になります。
最も多い症状と言われている腰痛ですが、問診・レントゲンやMRIでの画像検査、神経検査をして原因を特定できる腰痛症は全体のわずか15%です。
残りの85%は、なぜ腰痛が起こっているのか特定しにくい非特異的腰痛、つまり原因のわからない腰痛です。
原因の特定できる15%の腰痛のうち、腰痛全体の約12%を占めるのが、腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニア、脊椎圧迫骨折など腰の神経の障害によって起こるものが挙げられます。
残りの約3%は、内臓疾患やがんの脊椎転移や強直性脊椎炎による腰痛だと考えられます。
<代表的な特異的腰痛>原因を特定できる腰痛
・腰椎椎間板ヘルニア
椎間板の髄核や線維輪が膨隆または脱出することにより、神経根や馬尾神経を圧迫し、神経症状を引き起こす疾患です。
・腰部脊柱管狭窄症
退行性変化による骨性狭窄(腰椎すべり症、脊柱側弯症)、椎間板の変性、椎間関節の骨性肥厚、黄色靭帯の肥厚等の様々な原因により、脊柱管が狭くなってしまった疾患です。
・脊椎圧迫骨折
脊柱を構成する脊椎が骨折をきたす状態を指します。
60歳代で7~14%、70歳代で37~45%となっており、高齢者には非常に身近な骨折をなっています。
・骨粗鬆症
脊椎の骨密度が低下している場合は、それだけで腰痛や骨折を引き起こす可能性があることが指摘されています。
・腰痛分離症
過度な運動や訓練などによって引き起こされる運動機能の障害であり、腰椎の一部分に負担が蓄積し、疲労骨折をきたすことが原因となります。
<代表的な非特異的腰痛症>原因を特定出来ない腰痛
・急性腰痛症(ぎっくり腰)
重い物を不自然な姿勢で持ち上げたり、過度に腰をひねったり、中腰の姿勢をとった際に起こります。
痛みの原因は、主に腰の関節やその周りの筋肉や靭帯にあると考えられていますが、原因ははっきりしていません。
・椎間板症
椎間板が変性する事により、椎骨や椎間関節への負担が増え、あらゆる障害を引き起こし、腰痛の原因にもなります。
・筋筋膜性腰痛症
腰の筋肉や筋膜が原因で起こります。
姿勢が悪い事により筋肉に慢性的な負荷がかかったり、スポーツなどで急激な負荷がかかったりした時に、筋肉が緊張し動きが悪くなり痛みが出やすくなります。
・心因性腰痛
明確な損傷や炎症が存在せず、何か月も続くような慢性的な腰痛を起こしている際には、心因性腰痛の可能性が疑われます。
では何故、腰痛は起こってしまうのでしょうか??
腰そのものに問題がある場合だけでなく、職業、生活習慣、日常の姿勢、ストレス、歩行、水分補給などの要因が複雑に絡んでいる為、自分の生活を改めて振り返ることが腰痛を未然に防ぎ、根本改善していくための第一歩となります。
日常生活の中での習慣などが原因と考えられる腰痛は大きく分けて4つです。
①歩行不足
人間は2足歩行をする動物なので、歩く時間が減ってきてしまうと、骨盤が弱くなり、臀部や腰部の筋肉や関節に負担がかかってしまいます。
②水分不足
人間の身体は約60%、新生児で約80%が体液と呼ばれる水分で出来ています。なので、約60%ある水分が失われると、筋肉や関節に負担がかかってしまい、基礎代謝や血液循環が悪くなり、腰部にも大きな負担がかかってしまいます。
③長時間の同じ姿勢
日常生活や仕事等で長時間同じ姿勢でいると、動かしていないので筋肉の硬結が早まり、更に負担がかかると筋肉の膨張が起きてしまい、関節にも大きな負担が起きてしまいます。
例えば、、、
・ソファで同じ姿勢でテレビを見る。
・同じ姿勢でPC作業。
・キッチンに立って長い時間料理する。
④睡眠時間
睡眠時間が減ってしまうと、自律神経が乱れやすくなり脳の働きが低下し、動いた時に筋肉や関節に負担がかかり、特に体の要の腰にはとても負担がかかると言われています。
理想の睡眠時間は7時間なので、意識的に睡眠時間を確保できるライフスタイルを作っていきましょう!